Lesson1-1 良い講師の条件

専門家としての自信を忘れない

講師デビューを目指す人の中には、『その道のトップで、私よりもっとできる人がいる』と言って、資格は取得したものの、行動を起こせない人がいます。では、『良い講師の条件はその道のトップでなければいけないか』と問われると、それは違います。

例えば、あなたの周りで先輩という立場にあたる人に、自分より知識のある分野について質問した時、答えてくれた内容に感謝をしたことがあるはずです。考え方はそれと同様であり、その道のトップでなくてもあなたに専門性があれば、それを正しく伝え、感謝されることで、講師として立派に活動できるのです。

講師は常に専門家としての自信を忘れてはいけません。あなたに講師を依頼し、講義に参加してくれた方は、あなたがこれまで学習してきた専門性を信頼しています。しかし、自分自身が専門家であることを忘れてしまうと、生徒は不信感を抱きます。ですから、講師の依頼を受けた後は、専門家としての自信を忘れず、できることを精いっぱい伝えることが大切なのです。

謙遜はしても口に出さない

日本人は控えめな国民性であり、「謙遜」が美徳とされています。しかし、講義をする場面で謙遜の言葉を口にしてしまうことは、専門家としての評価や信頼を失う恐れもあります。次のあいさつ例を比較してみるとイメージがつきやすいかと思います。

『本日は、お忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます。講師としての経験は浅いですし、私では力不足になるかもしれませんが、みなさまの迷惑にならないよう精一杯頑張りますので、よろしくお願いします。』

丁寧で悪くないのですが、自分を過小評価しているせいで自信がないように感じ取れますね。では、次のあいさつです。

『本日は、お忙しい中、お越しいただき誠にありがとうございます。私の経験がこのように認められ、今回こうして講師としてのご依頼をいただきました。みなさまが、私から一つでも多くの学びを吸収し、今後に役立てることができるよう、精いっぱい頑張りますので、よろしくお願い致します。』

いかがでしょうか。大きな違いとしては自己否定がなく、ポイントとしてこのあいさつには「威張り」を感じないということです。どんなに経験豊富な講師でも、威張ったような態度や上から目線では人に指導する姿勢ではありません。ですが、講師としてその実績をアピールすることも必要です。ただ、過剰なアピールは、威張りや単なる自慢に聞こえる恐れもあるので気をつけなければなりません。

初めは、自信と謙虚のバランスを取るのに苦労するかもしれませんが、この二つを常に意識することが良い講師になる基本条件であると心に留めて、場数を踏むことが、信頼される講師への一歩となります

Lesson1-1まとめ

  • その道のトップでなくても専門家としての自信を忘れなければ、講師として立派に活動できる
  • 謙遜の言葉は口に出すと、信頼や評価を失う恐れがある
  • 自信と謙虚のバランスを意識することが良い講師になる基本条件である