メニューづくりは、「あなたのサービスでしか得られない価値」が何かを決めること。ライバルと全く同じメニューでは、わざわざあなたを選ぶ理由がありません。ですから、メニューにはオリジナリティーを出す工夫・仕掛けが必要になります。

「好き」と「嫌い」の分別
適当にメニューを作っても、あなた自身が売っているモノやサービスを好きじゃなければ、人々がそのモノやサービスを好きになることもありません。そこでメニュー作成前に行いたいことが、あなたの、「好き」と「嫌い」の分別です。
たとえば、オーナーTさんの場合、父親から「良い大学を出なさい、自分で稼げる力を身につけなさい」と言い聞かせられ、自分もそれが正しい考え方だと思い、サロンオーナーとして独立しました。しかし、父親にどう評価されるかが気になり、本当は、『人に感謝されるモノ作りがしたい』と思っているのに、利益優先の商品作りをしてしまっている。
というように、心では望んでないことをすると、結果的に集客がうまくいかなかったり、運営困難な状況に追い込まれることもあります。ですから、初めに『好き』と『嫌い』を明確にして、本心で望んでいることをするのが大切です。
スキルを書き出す
今度は、今あなたが持っているスキルを書き出していきます。ここでは、スキルを3つの切り口に分けて書き出していきます。
1,資格
スキルで代表的なのが、資格ですね。資格を持っていることは、その道の専門であることを表現できますし、お客様から見て信頼できる理由の一つになります。ですが、時どき、資格を持っていないことが弱みだと感じ、資格を取ることに夢中になり、いつまでたってもサロン開業に着手できない方がいらっしゃいます。
勘違いしてはならないのが、「資格=選ばれる理由」とは限らないこと。お客様は、「資格」ではなく「あなた」に会いに来るのです。このことを理解できると、資格に頼らず、以下の2つを基にメニュー作りをすることも十分可能になります。
2,特技、能力
特技や能力は、あなたの頭の中で思いつくものがすべてとは限りません。普段、普通にこなしていることも他の人にとっては、すごいことかもしれません。ですから、「特技、能力」を書き出す際はぜひ、家族、友人、上司などに「他人よりも抜きん出ていること」を聞いてみてください。
3,経験
経験は、100人いたら100人違うものであり、他の人に真似できるものではありません。「◯◯のような経験があるからこそ、◯◯で悩んでいる人を助けることができる」というように、経験から悩みを解決してあげるのも立派なスキルとなります。
組み合わせ法でオリジナルメニューづくり
書き出した好きなことやスキルを使って、違うもの同士を組み合わせて、あなただけのオリジナルメニューを作っていきます。同じ材料を使っても、作り手によってまったく違う料理になるのと同じで、あなたの持っている「好きなこと」や「スキル」も組み合わせ次第では、全く新しいメニューになるのです。たとえば、
- アロマ+リンパマッサージ=香りのリンパマッサージ
- 子育て+ボディマッサージ=マタニティボディトリートメント
- ドリップコーヒーの淹れ方+パンの焼き方=手作りパンとドリップコーヒーを楽しむ講座
- DIY+カラーコーディネーター=色から選べるオーダーDIY
など、自分の持っているスキル、好きなことは、組み合わせ次第で様々なオリジナルメニューを生み出せます。このとき大切なのが、ただ単にやりたいことを組み合わせるのではなく、「これをセットにしたら喜んでもらえるかな?」というように、お客様視点に立って考えましょう。
サービスに合う価格を設定する
「お客様とうまくやっていきたい」と強く思うサロンオーナーはとくに、価格設定に悩む傾向があります。うまくやっていきたい一心で低価格提供をしてしまうと、利益を上げるために営業時間を伸ばしたり、多大な労力を使います。また、サービス過剰はお客様は喜ぶかもしれませんが、低価格提供と同じく、継続困難な状況を作りかねません。
「安いから」という理由で来店されるお客様は、もっと安いサロンがあればそちらに行くでしょう。あなたのオリジナルメニューには価格で選ばれない価値があるはずです。下手に低価格に設定してしまうと、かえってサービスの価値を落とす可能性もあるということも理解して、まずはライバルサロンの価格設定を参考にしてみましょう。
では、インターネットを利用して、以下の3点をポイントにリサーチしてみましょう。
1.分野別に調べる
たとえば、アロママッサージであれば、同じ分野はもちろん、関連する分野にまで調べましょう。
2.近隣を調べる
地域によって価格の設定は異なるので、近隣ではどのような価格設定なのか、また、都内になるとどれくらい価格に差が出ていて、サービスの内容はどんなものかなどを調べると良いでしょう。
3.規模ごとに調べる
個人サロンから、大手まで、幅広く相場を調べましょう。
以上3つのポイントをおさえて価格設定をすれば、ある程度、市場とのズレが生じることがなく適正な価格に近づきます。
しかし、いきなりその価格設定にするのに抵抗があるという場合は、「モニター価格」として、期間限定や人数限定で割引価格で提供してみて、様子を見ることをお勧めします。このとき、この価格が、「期間限定・人数限定のモニター価格であることを明確に提示すること」と「意見・感想をいただくこと」を忘れず実施しましょう。お客様の反応を見て、メニューに十分価値があると判断できたら、通常価格へ移行すると良いです。
Lesson7-2 まとめ
- 「好きなこと」や「スキル」も組み合わせ次第では、全く新しいメニューになる。
- 低価格提供は、多大な労力と時間を費やすだけで、結果として継続困難な状況を生む。
- 価格で選ばれない価値あるメニューを作るには、ライバルサロンのリサーチを徹底的に行う必要がある。
- 価格設定に抵抗がある場合は、まずは割引価格で提供して、お客様の反応を集めることから始めると良い。