話術はホワイトボードでカバーできる
しゃべること、つまり話術が苦手な人は、「言葉」に抑揚をつけたり、一本調子で話さないようにするなど、しゃべりに特化して練習をしますが、講義にリズムをもたせる方法ではありません。しゃべりが苦手の人はまず、「書く」ことに注力するのが良いです。
通常生徒は、ホワイトボードに書かれた文字を追うようにしてノートに写すという習慣を身につけています。これは、話術に長けている講師の話を聞いて、生徒が関心したように相づちをうったり、身を乗り出して話を聞いてくれることで、講師の気持ちが乗っていくのと同じで、自分がホワイトボードに書くリズムに合わせて生徒がノートに書き写してくれるので、講師も気持ちが乗りやすく、自然にリズムが作られていくのです。

ホワイトボード使用の注意点
基本的なことですが、参加者全員に文字がしっかり見えているかの確認をします。以下3点は意外とおろそかにしている講師がいるので注意しましょう。
- 文字は大きく濃く書く
- 見やすい色の確認
- 線はまっすぐきれいに引く
おろそかにしてしまう理由として、講師の視力が理由に挙げられます。特に1と2は視力の善し悪しで自分の見え方を基準としてしまうため、意識していなかったというのが実際です。視力の悪い方は、全ての座席からしっかり見えるかの確認をしましょう。3.の線はまっすぐきれいに書くに関しては、普段は立った状態で書く習慣がなく、また、机上とは違い手首を固定できない点から、ぐねぐねした線になってしまいます。この場合、文字を書くときにホワイトボードに小指を押し付けるように添えると書きやすくなります。
ホワイトボードの上手な使い方
- 2分割活用法
ホワイトボードの真ん中に、縦に線を入れて左右に分割する方法です。もっとも使われている方法であり、みなさんも一度は目にしたことがあるかと思います。2分割にすることで、テキストや教科書と同じ見え方になり、目で文字を追いかけやすく、ノートに書き写しやすいといった特徴があります。
- 消さないスペース
講義が始まる前に、ホワイトボードの右端か左端のどちらかに、講義内容の目次や重要ポイントを書き込むための「消さないスペース」を作ります。スペースの幅は書き込むボリュームに応じて調節してください。この部分はセミナーの間は消さずに残しておきます。たとえば、「ペーパードリップによるおいしいコーヒーの淹れ方」を以下の順序で説明するとします。
- 新鮮なコーヒー豆を使う
- 豆は中挽きにする
- お湯の温度は80°〜90°
- フィルターに触れないようにゆっくりお湯を注ぐ
- お湯を注いだ後は20~30秒蒸らす
これが講義で最終的に覚えていただきたい重要ポイントです。ホワイトボードを見るたびに、内容が目に入るため、重要ポイントを強く印象づけることができます。
書き写す量を事前に伝える
生徒は、「区切りよくノートをまとめたい」といった理由などから、講義内容を書き写す上で、1ページで足りるのか、次のページに書いた方がよいのかなどが気になります。ですから、ホワイトボードに書き出す前に、おおよそどのくらい書き写すことになるのかを伝えると親切です。たとえば、前述した2分割活用法を用いて、「アメリカにおける貧困層と富裕層の格差の二極化」について説明する場合、
「今から、貧困層と富裕層の二極化について説明していきます。ホワイトボード右側に貧困層の説明、左側に富裕層の説明を書き出していきますので、ノートに写すときは、あとで見やすいように書き写してくださいね」と伝えます。
また、分かりやすく説明するために、講義資料に記載してある図解をホワイトボードに書き出す事があると思います。このとき、生徒には、「図解はノートに書き写さず、配布した講義資料内の図解を参照してください。ポイントは直接書き込んでもらって構いません」と指示を出すことで、図解を書く時間を短縮でき、より説明に集中してもらえます。
Lesson4-3 まとめ
- ホワイトボードに文字を書く時は、「文字は大きく濃く、見やすい色の確認、線はまっすぐきれいに引く」の3つの基本ポイントに注意する。
- ホワイトボードは縦に線を入れて左右に分割すると、テキストや教科書と同じ見え方になり、目で文字を追いかけやすく、ノートに書き写しやすい。
- 重要なポイントを強く印象づけるために、ホワイトボードに『消さないスペース』を作り、そこに目次やポイントを書き込む。
- ホワイトボードに書き出す前は、おおよそどのくらい書き写すことになるのかを伝えると親切。