Lesson5-1 講義時間を守る

時間に制限のある講義はどんなに優れた内容であっても、時間内に収めることが非常に重要です。講義は早く終わるのも、延長することもマイナスです。講師は、与えられた時間を上手に使い、いかにパフォーマンスを発揮できるかが腕の見せどころです。

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早めの講義終了は必ずしも良くはない

たとえば、予定より講義の進みが早く、時間が余ったので、「生徒も長時間の講義で疲れているだろうから」という良心で10分早く講義を終了しました。確かに喜ぶ生徒もいました。ですが、生徒の中には、10分間で講師から吸収できることがあるなら、時間いっぱいまで講義してほしいという貪欲な生徒もいました。

このように、貪欲な生徒に対して不満を感じさせてしまうことから、講義を早めに終了させることは、必ずしも生徒のためにならないということが見て取れます。また、1時間3000円の講義の場合、10分で500円という計算になります。講師には、この金額の対価を提供することも求められます。

時間が余ってしまう場合の対処法

時間が余ってしまいそうな場合は、以下の3つを実践しましょう。

  • 話すスピードや間の取り方を調節する
  • 本日の講義内容のポイントなどを再度説明する
  • 時間調整用のネタを用意する

1つめは、講義途中で時間が余ってしまうと予測できた際にできる対処法です。2つめは講義内容をすべて終えた後に時間が余ってしまったときの対処法です。このとき、「みなさん、本日の講義内容における重要ポイントは大きく分けて3つあります。すべて答えることができますか?1つめは…2つめは…3つめは…でしたね、これらのポイントは問題を解く上で必要とされる公式です、今思い出せなかった方はしっかり復習をしましょう」というように説明するときれいにまとまります。

最後に、時間調整用のネタについてです。講師のなかには、アドリブで調整する方もいますが、非常に話術力が問われる方法であるため、かえって延長してしまうケースもあります。ですから、自信のない方は、講義内容に関連する補足説明や追加情報ネタを事前に作っておくのがいいです。最大で、15分間余ってしまうことを想定して、あらかじめ、3項目×5分=15分や5項目×3分=15分などのネタ用意して、残り時間に応じて対処できるようにしましょう。

講義延長が引き起こす問題

たとえば、主婦の方が保育園に子どもを預けて、空き時間に幼児食講座に参加するとします。講義終了予定時刻は4時です。保育園のお迎えが4時30分で、会場から保育園までは15分で行ける距離なので、十分間に合う距離です。しかし、講義時間が30分延長することで、講義途中で退出せざるを得ないか、最後まで受講した場合、お子様を待たせてしまい、保育園のスタッフにも迷惑をかけてしまうことも予想できます。

さらに、貸会場で講義延長した場合、利用中の会場に次の予約が入っている場合などは、次に予約を入れている主催者側と運営者側にも多大な迷惑をかけてしまいかねません。このように、講義延長は、さまざまな人に迷惑をかけてしまう問題が発生してしまいますので、講演時間を守ることを肝に銘じて講義を進めたいものです。

どうしても延長してしまう場合

講義延長が、どのような問題を引き起こすかを見てきましたが、どうしても時間を超えてしまう場合も時としてあるかもしれません。そのような場合には必ず、あと何分で終了するかを明確に告知してください。たとえば、

「みなさん、講義の終了時刻が10分後となりますが、最後に一つ説明したいことがございます。すみませんが、15分間の説明となりますので、5分間の延長をさせていただいてもよろしいでしょうか。」

このように伝えることで、生徒は安心して、残りの講義を受けることができます。また、前述したように、その後の予定がある方を想定して、以下のような言葉も交えて伝えると良いです。たとえば、

「(先ほどの続き)もし、この後のご予定や時間の都合上延長が難しい方は、ここで退出していただいても構いません。延長で説明した内容に関しては、個別にお伝えさせていただきますので、お手数ですが、メールか電話をください。『退出者がいたら』それでは、後ろのドアよりご退出ください。本日はありがとうございました。」

このように、退出せざるを得ない生徒には、延長で説明した内容の事後報告ができることをアナウンスしたり、「後ろのドアよりご退出ください」といった配慮と感謝を伝えることが大切です。

Lesson5-1 まとめ

  • 早めの講義終了は、一部の生徒に対して不満を感じさせてしまう可能性があるため、必ずしも生徒のためにならない。
  • 講義時間が余ってしまいそうな場合は、話すスピードを変えたり、ポイントの再説明、間調整用のネタなどで調節する。
  • 講義の延長は、生徒だけでなく様々な人に迷惑をかけてしまう問題が発生する。
  • 延長することが事前に分かる場合、あと何分で終了するかを明確に告知することが必須。