大勢の人前で話すのが苦手という原因の一つに、生徒の「視線」が考えられます。生徒は、敵意を持って講師を見ているわけではありませんが、一斉に視線を向けられることが苦手な人は、軽い恐怖心すら感じます。
視線を感じることで、余計に緊張を煽られ、それゆえに伏目がちになり、声が小さくなってしまうことはよくあります。では、視線が怖いと感じてしまう場合はどのように対処すればよいのでしょうか。

視線を取り除く4つの方法
- 参加者をひとかたまりで見る
- 一対一の場合は、目ではなくおでこを見る
- 生徒の目線を道具に逃がす
- 笑顔の生徒に目線を合わせる
1,参加者をひとかたまりで見る
講師がずっと伏目がちでは、生徒に自信のなさが伝わってしまいます。ですから、目線は高く、前を向いて堂々と振る舞うことが求められます。ですが、どこを見ていいのか困るという方はまず、参加者をひとかたまりにしてぼんやりと見るのがよいです。このときあらかじめ見る方向を決めておくといいです。たとえば、中央後方、右後方、左後方、右前方、左前方といった感じです。こうすると全体に目を配っている印象も与えられます。
2,一対一の場合は、目ではなく眉間を見る
たとえば、質問をされた時など、一対一で話すときは、「目を見て話す」ことができれば一番良いですが、生徒のなかにはどうしても、目線を合わせにくい方と合わせやすい方がいます。目線を合わせにくい人と一対一で話さなければいけない場合は、相手の目をじかに見るのではなく、眉間を見ることで、緊張や不安を和らげることができます。これだけで、相手は視線が合っているという錯覚を起こします。
3、生徒の目線を道具に逃がす
あるテーマについて説明するとき、『言葉』だけで説明していると生徒の視線は自ずと講師に集中します。ずっと見られていることに苦しく感じる場合などは、ホワイトボードやテキストを使って生徒の目線を意図的に変えるとよいでしょう。
たとえば、そのテーマにおけるポイントをホワイトボードに書き込み、ボードを見るようにアナウンスするだけで、簡単に視線の先を変えることができます。
また、テキスト利用の場合は、「お渡しした資料は全部で10部です。落丁がないか今一度確認いただけますでしょうか。」というようにアナウンスすると、生徒全員の目線を下に落とすことができます。
4、笑顔の生徒に目線を合わせる
冒頭でのあいさつや場を和ますためにクスッと笑えるような小話を挟んだとき、生徒のなかには、常に笑顔でこちらを見てくれている方がいるものです。緊張して落ち着かない時や目のやり場に困ったときには、そういった生徒に視線を向けてみましょう。きっと自信をもって講義を進めることができます。
Lesson5-3 まとめ
- 参加者をひとかたまりにしてぼんやりと見ると、緊張からなる伏目がちな態度や、自信がないように見られてしまうことを防げる。
- 相手の目をじかに見るのではなく、眉間を見ることで、緊張や不安を和らげることができる。
- 生徒の視線に耐えられない場合は、ホワイトボードやテキストなどの道具を使って、目線を意図的に変える。
- 緊張して落ち着かない時や目のやり場に困ったときは笑顔の生徒に目線を向ける。