Lesson5-4 受講態度対策

ここでは、生徒の受講態度について、態度別の対策を学習していきます。

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 眠気解消

講義をしっかり受けたくても、昼食後の講義や、お仕事後の夕方から夜にかけて開催される講義では、どうしてもウトウトしてしまう方もいます。気持ち良さそうにウトウトしている生徒を起こすのは、気が引けます。ですが、生徒の受講目的を忘れずに、起こしてあげることが生徒にとって良い選択だと理解し、起こしてあげる工夫をしていきましょう。

コミュニケーションをとらせる

あるテーマについて生徒同士で意見交換などのコミュニケーションをとる場を作ります。たとえば、「では、いま説明した内容について2人1組になって意見交換をしてください」というように伝えます。すると、眠そうにしていた生徒は、意見を提示するために考えます。結果、脳が活性化し、その後の眠気防止にもつながります。

近くの生徒を指名する

ウトウトにしている生徒を見つけたら、その生徒の左右どちらかに座っている生徒を指名して質問を投げかけることで、一気に目覚めさせることができます。眠たそうにしている生徒は、他生徒の声に反応し、「あ、ウトウトしてた、次は自分が当てられるかもしれない」と、話を聞く姿勢になります。しかし、この方法は心理的に圧力をかけてしまう方法でもあるので、頻繁に使わないように注意する必要があります。

沈黙を作る

沈黙は、使い方によって生徒の注意を引く効果があります。たとえば、学生の頃、淡々と授業が進んでいる間はウトウトしていたのに、先生が話を止めて沈黙した途端に、「自分が見られているのではないか?」という感覚になり、先生の方に注目してしまうような経験がある方もおられると思います。ですが、理由なく沈黙を作ることは他の生徒が不安になります。ですから、「××の学習を進める前に、手元の資料の○○についてご一読ください。」というように、生徒全員が沈黙する理由付けをすることが大切です。

退屈そうな生徒

Lesson4「講義に集中してもらう」の章で、少し説明しましたが、無料講義や大人数を対象に開催する場合、参加意識の低い方に出会うケースがあります。その中には、友人から誘われたから、しかたなく参加したという方もいるかもしれません。そういった方はとくに、元々講義に参加する意義を感じていないため、退屈そうしている場合が見られます。では、そうした参加者の対応はどうすればよいのでしょうか。

多くの場合、講義に意義を感じなくても、講義がスタートするまでは態度を表に出すことはありません。しかし、講義が進むにつれて腕を組み、ため息をついたり、眉間にしわを寄せて難しそうな顔をしたりと、退屈そうな態度を取りはじめます。このとき、退屈そうにする原因が明らかに参加者側事情だと察することができる場合は、深く考えないことが大切です。臆病な講師だと、その生徒のオーラによって自分のリズムが狂わされ、講義の質が落ちてしまう恐れがあるからです。

思い過ごしに注意

ある講師が、通信販売会社で研修セミナーをされた時のことです。研修内容は、通販受注コールセンターの新入社員を対象とした電話応対マナーについてでした。研修がスタートしてからすぐ、後方に座られている男性が、終始こちらをきつく睨んでいるのに気がつきました。

講師は、その男性は電話応対マナーの研修内容がつまらないのだろうと感じていました。区切りの良いところで早めに休憩をとり、すぐに改善できるものであればと思い、勇気を持って男性の席まで向かい、「失礼ですが、こういった基礎的な研修内容って、面白くないですかね。」と問いかけました。

すると、男性は驚いたように。「すみませんでした!私、目が悪くて…目を細めて見るクセがあるんです。同期からも目つき悪いっていじられてます。電話応対はまだまだ慣れないので、このような研修を受けられて本当に良かったです。残りの時間もよろしくお願いします。」と答えました。

このように、講師から見て、つまらなそうに見えるだけという、単なる思い過ごしだったというケースもあるので、必要以上に意識をしないようにすることが大切です。

上記のような、「退屈そうな生徒」「つまらなそうに見える生徒」の対処の仕方で共通しているのは、自分のリズムを狂わせられないように、毅然とした態度で講義を進めることです。生徒のプレッシャーに押されてしまうと、あなたの良さを十分に発揮できず、生徒もあなた自身も満足のいく講義にすることはできません。ですから、先のような例もあるということを頭に入れ、どのような状況でも冷静に対処できるよう、しっかりと準備して自信を持って講義に臨みましょう。

Lesson5-4  まとめ

  • 生徒同士でコミュニケーションを取らせると、脳が活性化し、その後の眠気防止につながる。
  • ウトウトしている生徒の近くの生徒を指名して質問を投げかけることで、一気に目覚めさせることができる。但し、心理的圧迫を与えるため、頻繁に使わないよう注意。
  • 沈黙は、使い方によって生徒の注意を引く効果がある。
  • 退屈そうにする原因が明らかに参加者側事情だと察することができる場合は、深く考えないことが大切。
  • つまらなそうに見える生徒がいた場合、単なる思い過ごしというケースもあるので、講義リズムを狂わさないためにも、必要以上に意識をしないようにする。